いつもお世話になっている厚沢部町の鈴木木材さんで今年も丸太を挽いてもらいました。
挽いてもらったのはヤマサクラ2本、アズキナシ(カタスギ)、ハリキリ(セン)の4本。
今年はのぶ君が挽いてくれました。
最初はちょっぴり不安だったんだけど(のぶ君ごめんね)始めたら見事な手際。
きっと腕の立つ3代目になりますよ。
木を見る目はまだかなわないけど機械の使い方はお父さんより上手だって自慢していました。
丸太を板にする手順を簡単に説明すると、
丸太を挽く(切る)のは帯鋸という帯のように輪になったのこぎりが回転して丸太を切っていきます。
僕の工房にもありますがその10倍くらい大きな機械です。
丸太は一つ数百キロという重さがあるので人の手で動かすことはできません。
帯鋸の横の床にレールが引いてあり丸太を載せる台車がレールの上を移動して切っていくんです。
そして何より難しいのはどう丸太を挽くか。
挽く方向一つで現れる木目や表情、使う用途がぜんぜん変わってしまいます。
もちろん丸太は外から中身が見えるわけではないので木口の年輪と表皮の部分からどんな木目になるかということを想像するんです。
同じ一本の木でも硬いところ柔らかいところがあったり、節が隠れていたり、虫食いがあったりたくさんの表情をもっています。
鋸を入れその見えざる内面が現れる瞬間は木の仕事に携わるものとしてなんとも嬉しいものです。

ヤマサクラの淡いピンク色の木肌が現れたところ。
木目が詰まっていて色もやさしく素晴らし木でした。
板になった後は桟を入れ積んで風通しのよい日陰で自然乾燥をさせます。
昔から一寸一年といわれ30mmなら一年60mmあるとだいたい乾燥するまで2年くらいかかります。
現代の生活環境ではエアコンなどの影響で家の中の湿度が低くなっているので自然乾燥の後さらに乾燥庫に入れ人工的に木の中の水分を抜きます。
なぜ木には乾燥が必要かといいますと、水分が抜ける過程で水分の抜けた分だけ体積が縮むからなんです。
十分に乾燥していない材料を使うと完成後に木が縮み壊れてしまうこともあります。
古代エジプトの時代にはピラミッドの石を切り出すのにも木の収縮が使われていたそうです。
木で石を切るといってもピンと来ませんが、
まず石の切りたい場所に線を引き、その線上にいくつか穴を掘ります。
その穴にカラカラに乾燥した木を挿しこみそこに水を注ぎ込むと木が膨張して石が割れるそうです。
そのくらい木の収縮の力はすごいんです。
木の収縮の力をどう逃がし、どう使うかが木の物を作る上で一番悩ましくまた楽しくもあるところかもしれません。