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吉澤 俊輔

Author:吉澤 俊輔
1978年 1月 1日 生まれ
北海道は自然豊かな島牧村で育つ。
木の家具を作っています。
宿をやっています。
自然と人、人と人とをつなぐ
そんな暮らしができたらいいな

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2012/02/12//Sun * 22:47
●○アメリカ滞在記

昼間でも氷点下の5度を下回り吹雪が続く毎日、
そんな日は家に閉じこもるしかない。
そんなわけで、写真を整理していたらアメリカ滞在中の写真がたくさん出てきたので、
当時の日記を元に不定期でアメリカ滞在記を書いてみようと思います。

アメリカへ行くきっかけを簡単に。
2005年岐阜県高山市にある「森林たくみ塾」に一年間スタッフとして勤務していました。
そのとき塾の借りている古い民家でイギリス人の高校生2人、アメリカ人1人、日本人3人の6人で暮らしていました。
6人も一つ屋根の下にいるわけだから毎日何かが起こる、今思えば楽しい日々だったような気がします。
そのアメリカ人がChristopher Loomis、クリスさんでした。
クリスは日本の伝統的な木工技術を学びに来日。
たった3ヶ月だったけどたくさんの思い出を胸に帰ってゆきました。
クリスの「来年、Big jobがあるのでよかったら手伝いに来ないか?」という言葉を鵜呑みに、2006年の6月、クリスの住むカリフォルニアはサンフランシスコの隣町、オークランドを訪ねることになったのです。

アメリカ滞在記(1)  

~Yosemite Trekking~

アメリカ滞在から2週間目の週末、かねてから計画していたヨセミテへ3泊4日のトレッキングへ行ってきた。
メンバーはクリスと僕、それにクリスの友達のケビン、ウタ夫妻。
以前サンフランシスコの二人の家にキッチンを取り付けに行ったことがあった。
ハリウッドの映画にもよく出てくるが、本当に転げ落ちそうなくらい急な坂道の横に家が建っていた。
まずは下準備。
キャンプのために用意したものは4日分の食料、ほとんどがパンなどキャンプ用のドライフード。
りんごやオレンジ、アボカドなどの果物。
食料品は隣町にあるバークリーボウルというオーガニックのスーパーによく行っていた。
バークレーとはあのカルフォルニア大学バークレー校でも有名なバークレーだ。
初めてこのバークリーボウルに行ったときは見るもの何もかも珍しくてこれだけで話が終わってしまうくらい感動したのだがここでは簡単に。
カルフォルニアはアメリカの中でも一番食べ物に恵まれていて、特にオーガニックの野菜や果物、ナッツ類は何を選んでもおいしかった。
そして大事なのがベアボックスというプラスティック製の丸い容器。
近くのアウトドアショップで事前に借りることができる。
ヨセミテはブラックベアがたくさんいるそうで食料は必ずこれに入れて持ち運ばなければいけないということだった。
ブラックベアは匂いにすごく敏感でテントの中に食料があると入ってきてしまうのだ。
歯磨き粉など匂いの強いものもNG。
それからテントに寝袋、ガス、と一般的なものですが、
水をろ過するポンプが面白かった。
長いキャンプだとすべての水を持っていけないので現地調達になるわけです。
でもポンプには消毒剤が入っていて実際ろ過した水はまずくて飲めたものじゃなかった。
すべてあわせるとかなりの重さ。
これだけしょって歩くのは僕にとって初めてだった。
でもぼくのバックパックは小さくてあまり入らずクリスには悪いことをした。

8時待ち合わせのところでがけからばたばた、ケビン夫妻がなかなか来ない。
クリスいわく彼らは時間にルーズだそう。
9時近くようやくオールドタイプのSAABにのって到着。
一見見た感じはそんなに体力のありそうな二人ではないのだが、
よくトレッキングには行くそう。
二人ともドイツの出身。
軽く挨拶を交わしいざ出発。
といっても僕はまだ英語をほとんど理解できず、どこをどう歩くかも知らないままだった。
オークランドの町を離れハイウェイを走り内陸部へ、
海岸を離れると気温が急にぐっと暑くなる。
乾期で黄色くなった牧草の丘が見渡す限り続いて、
風力発電の風車が数え切れないほど立っていた。
日本には無い風景だ。

茶色の丘


思ったより気温が高くて35度を超えていた。
クリスの車はクーラーが効かないので、窓は全開だったけど入ってくる風は熱風だった。
その後いくつかの小さな町と見渡す限り続くプラム、アーモンド、ブドウなどの果樹園を通り過ぎヨセミテの入り口へ。
なんとなく以前行ったイスラエルの風景に重なるところがあった。
標高があがるにつれ周りはパインの森へ。

パインの森

ヨセミテ国立公園のゲートで20ドルを支払い公園内へ入り、
まずは入り口のビジターセンターで情報収集。
その時点までどのコースを歩くかまだ決めてなかったみたいでケビンとクリスで意見が合わなかったみたいだった。
クリスはまだ雪のあるバックカントリー(ヨセミテバレーに対してその裏側をそう呼ぶみたい、ちなみにヨセミテバレーは一般の観光客が一番手軽に訪れるスポット)へ行きたい、しかしケビンはあまり無理はしたくない。
レンジャーの情報で雪がそれほど多くないと言うことでケビンが折れバックカントリーに行くことになった。
この時期ヨセミテバレーは気温が高く虫がひどくてキャンプをする気にならないとクリスは言っていた。
ヨセミテバレーの裏側にある湖のほとりからヨセミテバレーに向かって下っていくコース。
僕はわからない英語をふんふんと聞いている振りをしているだけで、
まだこのトレッキングの全容がぜんぜん見えていなかった。
その時点でもう3時過ぎ、本当にこれから登れるのかと心配になってきた。
ようやく4時ころ登山口に到着。
入り口で記念撮影した後すぐ出発。
入り口に立っている赤錆びた鉄の看板が素敵だった。

出発

1分も歩かないうちに予期してなかったことが起こる。
突然トレイルがなくなり目の前に川が流れている。
それも深さが腰くらいまでありそうな大きな川だ。

さえぎる川

いきなり道を間違えたのかと思ったら、3人とも靴を脱ぎ始めた。
そしてサンダルに履き替え短パンに。
どうやら予期してなかったのは僕だけで、ここでは当然のように川漕ぎがあるようだ。
そういえば出発の前にクリスがこのサンダル使わないかと僕に出してくれたのを思い出した。
山に登るのにサンダルなんかいらないと返したのだが、このことだったのかとそのときに気づいた。
もう少し親切に「川漕ぎがあるんだ」って説明してくれたっていいのに。
仕方なく僕は靴下で川を歩くことに。
でもこれが冷たいのなんの、当然雪解け水。
足の先が壊れるかと思うくらいの冷たさだった。
我慢できないと叫びたいところをこらえて苦笑いしながらバックパックを濡らさないように向こうの川岸目指して必死に歩いた。
はじめからこれではこれからさきどうなるのかとさらに不安にかられた。
それからしばらくはパインの森が続く平坦な道。
あたりはパインの香りでいっぱいで、クリスは「グットスメル」っと言っていた。
日本の松のにおいに似ているのですが、それをもっと甘ったるくしたようなにおい。
僕は日本の松の香りのほうがすっきりしていて好きだな。
甘ったるく感じるのは気温のせいかもしれない。
標高は2000m近くで、まだ雪が残るものの気温は30度近くある。
さらに標高があがるにつれ雪が増え、パインの木が減り花崗岩の白い岩肌が顔を出す。
空は高くどこまでも青い。
ところどころ雪解け水が花崗岩の岩の上を滑るように流れて行く。
去年登った北アルプスの燕岳にすごく似ていると思う。
スケールをもっと何倍も大きくした感じかな。

岩肌を流れる水

トレイルはきついのぼりに入り、斜面が北向きなこともあって完全に雪に覆われてしまった。
道を示すものは前の人が歩いた足跡だけ、それも途切れ途切れだ。
重い荷物をしょっての急な雪の斜面を登るのはかなり大変。
ときどきすべるったり、足がはまったり!
特にケビンとウタは雪の上を歩く用意をしてきてなかったみたいで、
だから来たくなかったんだって言う雰囲気になってきた。

雪の残る森

それでもようやく尾根づたいに出て一安心、
と思ったつかの間足跡がなくなり完全にトレイルを見失い右往左往した。
トレイルを探しながら歩いているうちにやっと視界が開けたすばらしいポイントへ出る。
氷河が作った谷間と有名なハーフドームという岩を見渡せる場所だった。
苦労して登ってきたぶん感動もひとしおだった。
しばし景色を眺めつつ自分たちの居場所を確かめるために地図を広げた。
クリスとケビンがあっちだこっちだといいながらなかなか自分達の居場所がわからない。
よくこれでトレッキングに行くなと、自分が一番何もわからないのを棚に上げて思っていた(笑)
ようやく自分たちの居場所を確かめ、もう日暮れが近いので今日はその絶景の場所でテントを張ることになった。
本当は近くに熊の糞もあって怖かったんだけどクリスがここにしようって。

ブラックベアの糞

今思うと自分が初めての経験ばかりで判断力がなく不安だらけで始まったヨセミテの一日だったなとおもう。
絶好のロケイションのところにテントを張り夕食の用意。
ご飯を炊き、ソーセージをゆでる。
それだけの夕飯だったけど、何はともあれ疲れていたのでおいしかった。
食事の後、食料はベアボックスに詰め木の上に吊るした。
夕暮れ時ハーフドームが赤く染まるころに写真をとった。

夕暮れのハーフドームと

その場所からの風景はまさにNHKのトレッキング紀行でラストシーンに出てきたところだ。
夜は体調がいまいちだったこともあり、なかなか寝付けず汗をびっしょりかいた。
標高が2500メートルもあったので多少高山病になっていたのかもしれない。
夜中に起きてみた夜空の星がすごくきれいだった。
遠い日本と同じ星空だったのがなにかとてもうれしかった。

2日目は最初平坦な道のり、途中からまた雪の斜面を登り、
このキャンプの最高峰クラウドレスト(標高3025m)を目指す。
直径1m以上もあるレッドウッドの赤い幹と緑の葉、白い雪のコントラストがきれいだった。

レッドウッドの森

空気が薄くてちょっと無理をすると息が切れる。
頭もがんがん。

クラウドレストより

起伏に富んだ花崗岩の岩陰にはときどきマーモットが顔を見せてくれた。
人をそんなに恐がらず、歩いているすぐ横をひょいひょいと身軽に走っていく。

マーモット

そして頂上へ、360度、見渡す限りのすばらしい景色。
よく考えたら僕にとって今まで登った最高地点でもあった。

仲良し

かなり疲れていて景色を楽しむ余裕はあまりなかった。
そこから下ったとこが二日目のキャンプサイト。

ハーフドーム

そばの小川で汗を拭いた。
本当はザブンといきたかったんだけど冷たくてできなかった。
クリスはすっぽんぽんで水浴びしていた(笑)
次の日、仕事のあるケビンとウタは先に下山。
僕たちだけテントをキャンプサイトに残しハーフドームへ。
この日が一番面白かった!
「ハーフドーム」その名のとおりドームを半分にしたようなむき出しの花崗岩の岩だ。
麓までは相変わらずレッドウッドの森が続く。
途中不思議な花を見つけた。
きっとギンリョウソウのような仲間か?

不思議な植物

レッドウッドの森を歩いていると上から何かが落ちてきた。
松ぼっくりだ。

松ぼっくりの道

でも木が大きいだけにスケールが違う!!

こんなに大きい

その森が途切れると壮大な岩壁が立ちはだかった。

ハーフドームの岩壁

岩壁のたもとには皮の手袋が無造作に積まれ、
「自己責任で行け!」という但し書きが、いかにもアメリカらしい。
日本じゃ絶対立ち入り禁止ってなりそうなところだ。
クリスに「本当にこれを登るの?」って聞いたら、
ちょっとちゅうちょしながらも「もちろん!」と返ってきた。
岩肌にただワイヤーが二本はってあってそれをつかんで登る。
一番急なとこは60度くらいあったと思う。
下から見上げるとほぼ垂直にも見える。
皮手袋をはめ、足場を慎重に選び登ってゆく。
手を滑らせたらそのまま下まで落ちてしまいそうな岩肌、アドベンチャー気分満点だった。

こんなに急斜面

頂上は平らになっていて意外と広い。
岩の隙間には可憐な高山植物の花が咲いていた。
ドームの反対側は800mも垂直にそそり立つ壁、まさに天空の城の上に立っているような気分だった。
下を除くと眼下に豆粒のように木々が見え、なんか生きた心地がしなかった。

生きた心地がしない

よく見るとそんな岩壁を登ってくるロッククライマーたちもいた。
帰りは、またワイヤーをつたって降りる。
登りより大変だった。
キャンプサイトまでの道のりで雷鳥や鹿にも出会った。
そしてその夜にはブラックベアにも出会うことになる。
夕方食事をしているとなにやら林の向こう側で叫び声がする。
100mくらい離れたところだった。
よく見ると誰かが棒でブラックベアを追っ払うしぐさをしている。
しばらくするとブラックベアはいなくなったみたいで、クマとにらみ合っていた人たちが僕らのところへ来た。
かなり興奮していたが一緒にコーヒーを飲み一息つくとすぐに下山していった。
無謀にも日帰りの予定でキャンプ道具や食料も何も持っていないそうだった。
その後、僕らのキャンプサイトにもブラックベアが現れるのではないかとびくびくしながら夕食を終えた。
食料はベアボックスに詰め、テントから離れた倒木の下に隠して休んだ。
なかなか寝付けずにいると、案の定テントの外でがさがさ何かの音がする。
クリスと一緒にゆっくりテントのファスナーを開けると暗闇の中に何か黒い物体が見えた。
ちょうどベアボックスを隠した倒木のあたりだった。
意を決してライトで音のするほうを照らす。
黒い姿が浮かび上がる。
やっぱりブラックベアだ。
と同時に、ちょっとホッとした、というのは体調1mくらいの小さな小熊だった。
こちらが声を出すとすぐに逃げて行ったしまった。
近くに親熊がいたのかもしれないがそのときは気にならなかった。
ベアボックスをもっと遠い場所に隠しなおしヨセミテの最後の夜は過ぎていった。
翌日はヨセミテフォールを横目にヨセミテバレーまで下山、
ここまで来るとわんさか普通の観光客がいる。

ヨセミテフォールを後ろに

車は山の上にあるのでヒッチハイクをする。
ちょうどヨセミテのガイドをしているオヤジさんが拾ってくれた。
車に乗ったとたん疲れがどっとあふれ出してきてあっという間に夢の中だった。

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